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  成年後見サポート(保佐人の代理権)
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 応接室の虫メガネ』
  
        本章は、保佐人の代理権(家庭裁判所が定める特定の法律行為)のお問い合わせや、ご相談の参考になればと
        の趣旨で独自に創作したものであり、登場人物や設定内容等は事実ではありません。
    

      さて、今回のお客様
保佐人M子さんの登場です。
      いつものように、お客様を応接室にご案内。六法もスタンバイ。そして「応接室の虫メガネ」が
         そろそろ出番です。  


       民法第13条(保佐人の同意を要する行為等)
         被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書
           に規定する行為については、この限りでない。
           1 元本を領収し、又は利用すること。
           2 借財又は保証をすること。
           3 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
           4 訴訟行為をすること。
           5 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成15年法律第138号)第2条第1項 に規定する仲裁合意をいう。)を
            すること。
           6 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
           7 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
           8 新築、改築、増築又は大修繕をすること

           9 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
          2 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項
           各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をす
           ることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
          3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもか
           かわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与える
           ことができる。
          4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、
           取り消すことができる。
           保佐人M子が裁判手続(調停)に臨む
  
     「私(M子
は夫と結婚して15年になります。夫は前妻と死別し私と再婚しました。夫には前妻と
     の間に息子(20歳)がおり、前妻の両親(義父母)と同居しています。夫は義父P男)と事業を
     するため7年前に不動産(土地建物500万円)を購入し作業場にしました。その際、売買及び登記
     手続きをP男にまかせたところ、
P男が勝手に自分の名義にしてしまいました。それで、息子P男
     が世話になっているため、息子が成人したら夫の名義に変えるという約束(書面)をしてもらいまし
     た。ところが、夫が1年前に
若年性認知症(65歳未満で発症)になり、最近は物忘れの症状が進み(中
     程度)、買物の際に5千円札を出したか、千円札を出したのか分からなくなる始末で、日常生活や仕
     事に支障が出てきたのです。」
        

     「それで、
居住用不動産を売却して、その売却金で作業場の隣の土地を購入し家を建て、家族で事業を
     やりなおしたいと考えました。そこで、
P男にそろそろ作業場の名義を夫に変えて、息子に相続させ
     たいと申し出たところ、
P男は知人に事業及び不動産の売却の話を持ちかけ、聞く耳を持ちません。
     そのため
保佐開始審判の申立てをしました。併せて土地・建物を売却すること及び裁判手続や登記
     申請などの公法上の行為について
代理権付与
審判の申立て
をしました。 家庭裁判所の審理を経て、
     夫の
保佐が開始され、私M子
保佐人に選任されました。家庭裁判所から居住用不動産の処分に
     ついての許可の
審判
を受け、夫名義の自宅を売却する手続を進めています。」
        

     「さらに、
P男に作業場を処分(売却・担保設定)されると困るので、弁護士に相談し、処分禁止仮
     処分命令申立て
をしたら命令が出て、法務局に供託(担保)をしました。その後、息子と夫と私は話
     し合いをして息子はP男の家を出ることになりました。そこで、改めて
P男に面会を申込み、作業場
     の所有権移転登記手続きに応じてくれれば、それなりのお金を用意すると提案したところ、裁判にし
     てくれと言われました。いきなり訴えるのも気が進みませんので、
調停による話し合いはどうかと問
     うたところ、公平な立場で話を聞いてくれる人がいるなら構わないと返事がありました。」

         ウェブ アニメータ

     「私の保佐人としての
代理権の範囲は、不動産・動産等すべての財産の保存、管理、変更及び処分に
     関する事項、登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項、各事項に関する行政
     機関等への申請、行政不服申立て、
紛争の処理(弁護に対する民訴法55条2項の特別授権事項を含
     む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む)に関する事項などで、
登記事項証明書の別紙目録記
     載のとおりです。」
        

     「恐らく、話し合いの時間はかかると思いますが、P男は息子がお世話になった人なので、話せばわ
     かって貰えると思うのです。それに、
調停で合意が成立したら裁判上の和解と同一の効力を有すると
     弁護士から聞きました。」
          
     ウェブ アニメータ
「確かに、民事調停法第16条(調停の成立・効力)により、調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に
        記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有します。」 


         ウェブ アニメータ

     「
P男は金銭的解決に乗り気のようです。簡易裁判所に調停申立をしますが、そこで合意できるのな
     ら手続き上、売買という形になっても仕方ないと思っています。所有権移転登記手続きにつき、どの
     ようなものをP男用意してもらえば良いのでしょう。早めに伝えておきたいと思います・・調停で
     の話も未だなのに気が早くて申し訳ないのですが・・。」
        
     ウェブ アニメータ「申立人(ご主人)・
申立人保佐人M子さん、相手方P男との合意が成立した場合の所有権移転
     登記は
調停条項(当事者目録、物件目録添付)でします。そして、当事者目録は申立人(ご主人)・
     申立人保佐人M子さん
、及び代理人がつけば申立人代理人弁護士○○となり、相手方P男及び代理
     人がつけば相手方代理人弁護士○○となります。
 その際、所有権移転登記用として相手方P男
     意してもらう書類は、不動産の権利証、不動産の評価証明書、住民票(登記簿上の住所とつながる住
     民票)、司法書士への委任状(実印)、印鑑証明書です。 また、担保取消用として相手方
P男に用
     意してもらう書類は、司法書士への委任状です。
     なお、
調停条項で登記の場合は、保佐人M子さん登記事項証明書は不要です。」

         ウェブ アニメータ

     「ちなみに、この件の調停条項はどういう内容が考えられるでしょうか・・」
        
     ウェブ アニメータ「売買の場合の一例としてですが、(1)不動産が申立人の所有に属することの確認(2)売買価格
     について(3)支払い方法(4)所有権移転登記手続きをなすこと(5)相手方
P男が不動産仮処分命令
     申立事件の担保取消に同意し即時抗告をしないこと(6)調停条項に定めるほか債権債務がないことの
     確認(7)
保佐人M子さんが調停条項に基づき調停を成立させることに同意したことなどです。ケース
     により異なります。なお、調停は非公開で、話し合いの内容は外部に漏れることはありません。」
        
     ウェブ アニメータ 
「概略はわかりました。 調停は話し合いとは言え、不動産の権利の得失にかかわることで法的知識が必要
        なので、やはり弁護士に委任し、私は
申立人保佐人として調停に臨みたいと思います。私は、保佐開始の審判の申立
        て
の際、家庭裁判所
審判により、保佐人の同意権取消権の範囲を広げたり、特定の法律行為について保佐人
        
代理権を与えることもできること、保佐人同意権取消権の範囲を広げたり、保佐人代理権を与えるためには、
        自己決定の尊重から、当事者が、
同意権等や代理権による保護が必要な行為の範囲を特定して審判の申立てをしな
        ければならないこと、
保佐人代理権を与えることについては、本人も同意している必要があることを知りました。そし
        て、
必要がなくなれば、代理権の付与の審判の全部または一部を取消すこともできることを知りました。」 
        「私は今、夫の保佐人として、代理権の重みを感じています・・・。」

                         
                       私は夫の保佐人 <イラスト S-kuniko作>
                     
 
                           (関連として、後見サポート858をご覧下さい)


                             虫メガネポイントもご覧下さい
          
 
      虫メガネポイント

        ウェブ アニメータ保佐人には、本人に代わって一定の行為をする代理権はないのが原則です
        ウェブ アニメータ代理権は、どのような法律行為についても付与できます。 但し、婚姻、認知、嫡出認否等の身分行為や、医
          療同意等の一身専属的な行為は代理権の対象となりません。遺言についても除外されます。

      
   (裁判所が定める特定の法律行為)
         1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理、変更及び処分に関する事項
         2 金融機関、証券会社とのすべての取引に関する事項
         3 保険契約(類似の共済契約を含む)に関する事項
         4 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払いに関する事項
         5 生活費の送金、生活に必要な財産の取得、物品の購入その他日常関連取引に関する事項
         6 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入所契約
           に関する事項
         7 登記済権利証、印鑑、印鑑登録カード、各種カード、預貯金通帳、株券等有価証券、その預
           かり証、重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項処理に必要な範囲内の使用に
           関する事項
         8 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項
         9 以上の各事項に関する行政機関等への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護に対する
           
民訴法第55条2項の特別授権事項を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む)
           に関する事項
         10 複代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項
         11 以上の各事項に関する一切の事項

        ウェブ アニメータ
保佐の対象者は判断能力が不十分でも、ある程度の判断能力があり、代理権が必要かどうかの判断は本
          人に委ねられ、本人以外の者の申立てによって代理権を付与するには本人の同意が必要となります。

        
ウェブ アニメータ代理権の付与がなされても本人が保佐人の同意を得て自ら契約できることに変わりはありません。
   
        民事訴訟法第55条(訴訟代理権の範囲)
           訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する訴訟
           行為をし、かつ、弁済を受領することが
できる。       
         2 訴訟代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。
          1.反訴の提起
          2.訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第48条(第50条第3項及び第51条において準用する
            場合を含む。)の規定による脱退
          3.控訴、上告若しくは第318条第1項の申立て又はこれらの取下げ
          4.第360条(第367条第2項及び第378条第2項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ
            又はその取下げについての同意
          5.代理人の選任
         3 訴訟代理権は、制限することができない。ただし、弁護士でない訴訟代理人については、この限りでない。
         4 前3項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。
           民事訴訟法上は、本人が相手方の提起した訴え又は上訴についての応訴行為をする場合及び必要的共
           同訴訟の共同訴訟人の1人が提起した上訴について、本人が共同訴訟人として上級審で訴訟行為をする
           場合には、保佐人の同意を要しない。それ以外の訴訟については、同意が必要。
        
    
                                                                2010.07.25

                                     

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